老犬ミニチュアダックスフンドと孫犬カニンヘンダックスフンドの仲良し生活

老犬ミニチュアダックスフンドと孫犬カニンヘンダックスフンドの仲良し生活


 

 

【はじめに】

 

我が家には、ミニチュアダックスフンドとカニンヘンダックスフンドが1頭ずついます。
色はどちらもブラック&タンという、目の上にマロ模様のある毛色で、長毛のダックスフンドです。

 

ミニチュアダックスフンドは生後半年の時にお迎えし、今や14歳になり、もう老犬です。
優しい性格で、飼い主が悲しんでいるとペロペロ舐めて慰めてくれる時もあるくらいです。

 

また、お利口さんで、おすわりやお手はお迎えしてから数週間で習得しました。
ただ、食には人一倍強欲で、ご飯の時間になると

 

「ワンワン!」

 

とお知らせしてきますし、おやつに関しては袋の音だけで

 

「ワンワン!」

 

と早くちょうだい!

 

とおねだりしてきます。
一方、カニンヘンダックスフンドは生後3ヶ月でお迎えし、現在2歳とまだまだフレッシュな時期です。

 

明るく、元気いっぱいで、毎日ゲージの中でピョンピョン跳び回っています。
甘えん坊さんで、抱っこが大好きです。

 

床に座っていると、人の膝にしれっと乗っかってきて、甘えてきます。
2頭は血縁関係にはありませんが、まるでお爺ちゃんと孫のように過ごしており、

 

「遊ぼ!」

 

と耳を引っ張ったりする幼犬ダックスフンドに対し、老犬ダックスフンドは

 

「はいはい、わかったよ」

 

というようにさりげなく避けつつも、少し時間が経つと今度は、老犬ダックスフンドの方が

 

「遊ぼ!」

 

と誘うように鼻で突っついたりしています。
そんな2頭が出会った時に、ある小さな進歩が老犬ダックスフンドに芽生えました。

 

ここからお話しするのは、2頭が出会ったことで老犬ダックスフンドに起きた、小さな進歩のお話です。

 

 

【出会い】

 

2頭が出会ったのは、2020年の初夏でした。私は交際中の彼とデート中、あるペットショップに立ち寄りました。
たくさんのワンちゃんネコちゃんを端からずっと見ていくと、ある一つの犬舎で私の足が止まりました。

 

そこにいたのが、生後3ヶ月のカニンヘンダックスフンドの仔犬でした。
毛色も当日13歳だった先住犬の老犬ダックスフンドにそっくりで、次飼うなら絶対カニンヘンダックスフンドがいいなと思っていたため、ガラス越しにずっと眺めていました。

 

そうしたら、その子もしっぽをブンブンに振って、私の方を見て、

 

「遊んで!」

 

と言っているような嬉しそうな表情をしていました。
ずっと見ていたら、近くにいた店員さんが抱っこをさせてくれました。

 

抱っこしたその子は、クンクンと私の匂いを嗅いで、その後私の持っていたカバンをカジカジして戯れはじめました。
しばらく抱っこしていたら、そのうち私の腕に顎を乗せてリラックスして、ウトウトしていました。

 

先住犬をお迎えしたときには見れなかった小さな仔犬の時期を見て、なんて可愛いのだろうと、私は思わず店員さんと話が弾んでしまいました。
ある程度、店員さんとお話をした後、生体価格の一部の支払いで、1週間ホームステイという名のトライアルができると言われました。

 

手が伸ばせない価格でもなく、ちょうど先住犬の誕生日も近かったこともあり、サプライズでホームステイを利用することにしました。
家に連れて帰ると、老犬の先住犬がいつものように尻尾を振って待っていました。

 

連れて帰ったカニンヘンダックスフンドの部屋を、先住犬の部屋の隣に設置して、お部屋越しに対面をさせました。
初めて仔犬を目の当たりにした先住犬は、

 

「この小さいのは何?」

 

と言わんばかりに不思議そうな顔をしながらも、気になる新入りの匂いを嗅いでいました。
これが、2頭の初めての出会いでした。

 


 

【ホームステイ期間】

 

1週間のホームステイが始まりました。
老犬ダックスフンドは毎日、幼犬ダックスフンドに興味津々で、隣の部屋と私の目を交互に見て、

 

「隣にいるのは誰?」

 

と言いたげな顔をしていました。
幼犬ダックスフンドは、しっぽをフリフリしながら

 

「遊ぼ!遊ぼ!」

 

と私にかまってアピールをしていました。
遊ぶ時間になると、老犬ダックスフンドと幼犬ダックスフンドは、お互いのお尻の匂いを嗅いでは、戯れて遊んで、時には一緒に寝て、という日々を過ごしていました。

 

また、幼犬ダックスフンドの変わった行動は、家族の会話に花を咲かせてくれました。
ある時、テレビで動物が映ったときでした。

 

幼犬ダックスフンドはそれを見て、

 

「ワンワン!」

 

と吠えたのです。
ダックスフンドは元々狩猟のための犬種だったので、きっと、動物(獲物)がいる事を教えてくれたのでしょう。

 

その他にも、鏡に映る自分を見て、

 

「ウーッ!」

 

と怒ってみたり、そのあと鏡の後ろを覗いて誰かいないか探してみたり、なんと仔犬らしい行動なのでしょう。
老犬ダックスフンドが小さかった頃にはなかった現象に、家族内でも思わず笑顔が溢れました。

 

2頭が一緒に過ごす中で、幼犬ダックスフンドの可愛い成長とともに、老犬ダックスフンドも小さな成長を見せ始めたのです。

 

 

【小さな進歩】

 

トライアル終了間近、お迎えするかしないかを家族で話し合いをしました。
母は絶対大変だから反対、父は自分で飼うならOKという形で意見が割れていました。

 

母はかなり厳格な人で、一度ダメと言ったものは基本、何を言ってもダメと聞いてもらえないような人です。
父は、やりたい事は基本やらせてあげるというスタンスで、見通しを持ったプランであれば反対される事はほとんどないのできっと、幼犬のお迎えも許可を出したのでしょう。

 

話し合いは6日目の夜まで続きました。
最終日の朝、母の反対意見が覆る出来事が起きました。

 

それは、老犬ダックスフンドと孫犬ダックスフンドを連れてお散歩に行ったときでした。
歳をとってダラダラ歩いてお散歩してた老犬ダックスフンドが、カニンヘンダックスフンドと一緒に散歩に出かけた時だけ、まるで若い頃のようにスタスタと歩いたのです。

 

私はそんな老犬ダックスフンドの進歩を、母に話しました。

 

それを聞いた母は、カニンヘンダックスフンドがいてくれるおかげで、老犬ダックスフンドが生き生きと生活できるかもしれないと、100%反対していた母の意見が180度ひっくり返ったのです。
これが、老犬ダックスフンドに起きた、小さな進歩でした。

 


 

【おわりに】

 

それからの2頭はというと、今や戯れ合いをするほどの仲になりました。
老犬ダックスフンドは孫犬ダックスフンドに負けないくらい、走り回ったり、耳を引っ張りあって戯れ合ったりしています。

 

老犬ダックスフンドは、今も元気いっぱいで、フィラリアの薬をもらうために病院を受診した際も、白内障で濁ってきた目もまだ見えているとのことでした。
もう見えてないかもしれないと思っていたので、それはかなり嬉しい報告でした。

 

カニンヘンダックスフンドはというと、お散歩は歩くよりも抱っこが良いと、抱っこをせがむ甘ったれちゃんになりました。
でも、老犬ダックスフンドと一緒に行くときは、先導して歩いてくれる優しい子です。

 

おチビさんだったのに、いつのまにか立派な成犬になっていました。
今は、『お手』や『おかわり』、『待て』の練習中です。

 

老犬の方はというと、年齢のせいか当時よりは歩くのは遅くなったものの、元気に毎日歩いています。
若い頃に教えた芸はまだしっかり覚えており、キレッキレに決めてくれます。

 

最近は、カニンヘンダックスフンドにお手本を見せつけるかのように、自信満々に芸をしてくれています。
これからも、2頭一緒に生活することで生まれる相乗効果に期待して、見守っていきたいと思います。

 

ご購読ありがとうございました。

 

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