ペットブームの実態や歴史

ペットブームの実態や歴史


 

新型コロナウイルスの流行で、新しい生活様式を取り入れることとなりました。
今までは当たり前のように行っていたことがガラリと変わった人も多いと思います。

 

例えば、学校に行かずに授業を受けたり、会社に行かずに仕事をしたり。
テレワークは珍しいことではなく、当たり前になりつつあります。

 

家で過ごす時間が圧倒的に増え、外出や旅行も思い通りにはできない世の中。
様々な業界で、業績不振が相次ぎました。

 

そんな中、売り上げを大きく伸ばしたのはペット業界です。
外出はできず、家で過ごす時間が増えたからペットを迎え入れよう、という人たちが多くなりました。

 

今回は、コロナウイルスの流行によって起きているペットブームの実態と、これまでに繰り返してきたペットブームの歴史を振り返りつつ、考えていきます。

 

 

<1.ペットブームの現状>

 

ペットを迎えるとき、だいたいの人はペットショップへ行き、気に入った子を探します。
アメリカでは、ペットショップで犬を買うのではなく、保護施設から引き取るのがポピュラーだそうです。

 

様々な手続きを終えて、家に連れてくる日はワクワクしながら迎えに行くものですよね。
コロナウイルスの流行によって家で過ごす時間が増え、また給付金の支給も後押しして、犬や猫を迎えた家庭は多いのです。

 

ある大手ペットショップへのアンケートでは、前年に比べて犬・猫どちらも6万匹以上、売り上げが増加したと答えています。
ペットショップにとっての商品である動物たち。

 

売り上げ(需要)が増えれば、価格も上昇します。
トイプードル等、人気の犬種はこれまで大体1匹40万円ほどで販売されていましたが、ブームと共に価格は上昇し、約1.4倍ほどの価格になりました。

 

このようにブームとなって、熱狂的に人気が出るものの裏には、必ずといっていいほどマイナス面もあるのです。
今回のコロナウイルス流行によって起きたペットブームの裏には、最近TV等でよく耳にする

 

「多頭飼育崩壊」
「飼育放棄」

 

があります。
現在起きているペットブームは今後、どのようになっていくのでしょうか。

 


 

<2.ブームの裏側>

 

在宅でのテレワークが普及し、ペットと過ごす時間が増えたことにより、問題となっているのは

 

「留守番等、飼い主と離れるしつけ」

 

です。
常に近くに飼い主の存在があるため、安心して過ごせることはペットにとっては良いことだと思います。

 

その反面、ちょっとした外出等で留守番をさせると分離不安となり、吠えたり汚したりと手を付けられない状況となります。
このようなことから、少しずつ増えつつあるのが飼育放棄です。

 

給付金を頭金として、安易な考えでペットを購入した人が、飼ってみてから

 

「こんなにお金がかかるのか」

 

と現実を目の当たりにする人も少なくはありません。
予想以上に長引くコロナウイルスの流行による経済状況の悪化や、留守番ができずしつけに困っている等の理由から、生後1歳に満たないペットを手放す人がジワジワと増えてきています。

 

何年後かにコロナウイルスが収束を迎え、また元の日常が戻った暁には、このような人間の身勝手な理由でペットを手放す人は増加すると懸念されています。
ペットを飼うことを決意し、迎え入れることはそれほど難しいことではありません。

 

ですが、忘れてはいけないのは

 

「ブームはいつか去る」

 

ということと、

 

「コロナが収束しても、ペットの飼育は続く」

 

ということです。

 

 

<3.ペットブームの歴史>

 

日本におけるペットブームの歴史はとても古いものです。
さらに言えば、日本人とペットの関係は、縄文時代まで遡り、いかに日本人が古くから動物と関わりながら生きてきたかがわかります。

 

古くから農業を行ってきた日本人は、猫やイタチといった肉食の小型動物を飼育することで、ネズミなどの害獣を駆除させてきました。

 

ただかわいがる、癒しを求めた存在というよりは、農業の相棒として人間の生活を手伝ってきたのです。
ペットブームと称される流行の歴史はどうでしょうか。

 

@第1次ペットブーム(1950年代)

 

戦後の日本は高度成長期を迎え、郊外には新たな住宅地が整備されるようになりました。
郊外に広い土地を構えて家を建てる人が増えてくる中で、番犬として犬を飼う人が一気に増えたことが第1次ペットブームだと言われています。

 

現代において、近所迷惑にならぬよう、犬はなるべく吠えない方がいい。
そんな考えが定着していますが、このときはなるべくよく吠える

 

「番犬」

 

であれば良いとされていたのです。

 

日本スピッツのような見た目はかわいらしい愛玩犬だがキャンキャンと良く吠える犬はとても人気だったと言われています。
この第1次ペットブームは約10年間続き、60年代に入ると新たなブームが巻き起こります。

 

A第2次ペットブーム(1960年代)

 

広い土地に家を構える住環境から、団地のような集合住宅が出てきたのはこのころです。
それまでは番犬であるためによく吠える犬が人気を集めていましたが、住環境の変化からなるべくおとなしい犬を求めるようになりました。

 

そこで人気を博したのは小型犬です。
このころに一番人気だった犬種はマルチーズ。

 

マルチーズの人気は長く続き、80年代になると人気な犬種第1位となったと言われています。
現代でいうトイプードルのような存在と言えるでしょう。

 

ブーム時に人気とされていたマルチーズ、現在はどうでしょうか。
ブームは去るのだということを実感させられます。

 

このように人間の生活環境の変化に伴って、ブームも変化しました。
この変化は悪いことだけではなく、ブームが巻き起こったことにより、動物愛護法が整備され、今日はペットを家族として扱いともに生活できているのです。

 

たとえば、ワクチンの接種や放し飼いの禁止、フィラリアの予防や避妊・去勢手術が例にあがります。

 

法律が整備され、ペットを飼育する人間の意識も少しずつ変化しました。
この第1次、第2次のペットブームが、現在のペットブームの基底となっています。

 


 

<4.まとめ>

 

動物医療の進歩と、飼育環境の改善によってペットの平均寿命は延びつつあります。
一度飼ったら、その子が最期を迎えるまで育て、愛情を注ぐのが飼い主の義務です。

 

致し方ない・・・
という理由であっても、ペットからしたら人間の勝手な考えなのです。

 

ブームというものにはいつか終わりが来ますが、飼っているペットの終わりはきません。
いつか、寿命を迎え命の火が消える瞬間まで、ペットとの生活は続きます。

 

コロナウイルスとの闘いも、いつの日か終わりがくると信じ、1日1日の生活を必死にこなしている私たち。
ステイホームという未曽有の経験をペットは癒してくれているのです。

 

どうか、ブームがさらないように。
ステイホームの必要がなくなり、手放される動物がいないように。

 

適切な環境で、生涯幸せに生活するペットたちの幸福を切に願っています。
また、もしもこれから犬や猫を家族に迎えようと考えている方は、ペットショップに行く前に保護施設を覗いてみてください。

 

そこにいる犬や猫は、自分で望んでそこにいるのではなく、人間によって生み出された保護犬・保護猫なのです。
保護犬・保護猫を引き取らないにせよ、その子たちの姿を一度でも見ることにより、迎えた犬や猫を決して手放すことなく、生涯飼育することの誓いになるのではないかと思います。

 

ブームを迎えれば必ず終わりがある。
ブームが終わっても命は続く。

 

コロナウイルスのブームは早く終わってほしいですね。

 

ご購読ありがとうございました。

 

今回のお話「ペットブームの実態や歴史」の続き記事へ

 

 


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