犬の表情から読み取る事が出来る感情
猫やハムスター、ウサギなどに比べて、犬はしっぽを振ったり、怒られると落ち込んだような仕草や表情を見せてくれます。
まるで人間の言葉を理解し、コミュニケーションを取っているかのように。
実はこれ、あながち間違っていません。
言葉というよりは声のトーンや表情から、人間の感情を理解しています。
人間と同じように、犬にも感情があり、その感情を顔や態度に出しているというのは研究により解明されているのです。
今回は、犬の表情、態度から読み取ることのできる感情と、その様子について考えていきましょう。
<1.怒っている表情>
犬の表情で一番わかりやすい表情といっても過言ではありません。
犬が怒っているときの表情はまさに、
「鬼の形相」
です。
注目するべきポイントは、口と耳です。
- 歯をむき出しにしている
- 耳が後ろに倒れている
- 眉間にシワを寄せている
この3つに加え、威嚇するように
「ヴゥー」
とうなり声をあげることもあります。
どんなに慣れている自分の愛犬であったとしても、このような表情を見せているときには触ろうとしないように注意しましょう。
<2.甘えている表情>
甘えている表情を読み取るときに、注目するべきポイントは、目・耳・しっぽです。
全身で表現をして人間に甘えているんだと思うと、とても愛おしく感じますね。
どのような特徴があるのでしょうか。
- 耳を寝かせている
- 目や口もとが緩んでいて穏やかな顔つき
- しっぽをあげている、振っている
怒っているときに比べ、全体的にやわらかい表情です。
同じように目元が緩んでいても、しっぽが下がっていたり、身体に巻き付けるようにしっぽを隠しているときには、何かに怯えていることもあります。
顔の表情だけでなく、しっぽにも注目しましょう。
<3.落ち込んでいる表情>
いたずらをして怒られてしまったり、主張を受け入れてもらえないとき、人間と同じように犬も落ち込むことがあります。
落ち込んでいるときの表情も人間と似ており、ションボリとしていて、一目で元気がないことを察することができるのです。
- 口を一文字に固く閉じている
- 耳が垂れている
- 目を細めたり、伏目にしている
- しっぽが下がっている
このような様子が見られた場合には落ち込んでいるのかもしれません。
我が家の愛犬も、いたずらをして叱るとまさにこのような様子を見せてきます。
深くため息をつくこともあり、もっとも人間の表現に近いような気がしています。
また、落ち込んでいたり、その時の状況に不満があると、複数回あくびをすることもあります。
犬はリラックスしているとき以外にも、ストレスを感じてあくびをすることがあるのです。
<4.考えている表情>
些細な音や、TVの音等に犬が頭を傾けている様子を見たことがあるでしょうか。
頭の上に
「?」
が浮かんでいるような表情です。
犬は音や嗅覚を使って、状況を察知する動物です。
- 耳を前に傾けている
- 口を一文字に結び真剣な顔つきをしている
- 頭を傾けている
このようなとき、犬は聞こえた音を集中して聞こうとしていたり、聞こえた音がなんなのかを必死に考えています。
嗅覚を使うときには鼻を
「クンクンクン」
とさせて、臭いに集中します。
<5.上目遣い>
リラックスして、飼い主さんの近くで寝たりしているときや、逆に叱られた時などに見せる
「上目遣い」
明らかにリラックスしているときの上目遣いは、甘えていると読み取ることができるでしょう。
ですが、叱られたときに見せる上目遣いは、
「恐怖・不安」
を表現しているのです。
「ごめんなさい」
と謝っていると解釈する飼い主さんも多いかもしれません。
かわいい表情ではありますが、強い恐怖や不安は犬にとって大きなストレスとなります。
また、トラウマになってしまうことも。
気を付けてあげましょう。
<6.犬は人間から学ぶ>
犬が感情を表情で表す仕組みは、人間と同じように脳から表情筋へ指示信号を伝達していると言われています。
また、人間と暮らすようになってからの歴史は深く、犬は人間から学び、取り入れたことも多いと言われているのです。
その中の一つとしてあげることができるのが
「表情」
です。
人間が犬と生活するようになり、犬を家畜化するために
「しつけ」
を行うようになりました。
犬は野生で生活していた動物ですが、人間と暮らすことでエサをもらうようになり、過酷な野生生活を送る必要がなくなった動物です。
しつけをする際に、人間は犬を叱ります。
その時、人間は自然と眉間にシワを寄せ、低い声で叱っているのです。
犬は言葉で理解するのではなく、この表情と声のトーンで
「今は叱られているんだ」
と解釈するようになりました。
こうして共生する中で、喜んだり、怒ったり、悲しんだりする人間の表情を犬は少しずつ覚えていきました。
犬は人間と同じような表情を使って感情を表現することで、手っ取り早く人間とコミュニケーションが取れることを学んだのです。
言葉を使うことができない犬は、身体の全身を使って、人間とコミュニケーションを取っているのです。
<7.病気の早期発見>
さまざまな感情を表情で表してくれる犬ですが、もしかしたら病気のサインかもしれません。
例えば、瞳孔が開いている様子が続く場合には、三半規管に異常があることを予想できます。
一見、やわらかい表情に見えていてもそれは顔の歪みの可能性があるのです。
瞼の下がり方にも注目してみましょう。
瞼が下がっている状態が継続的にみられる、また前よりも攻撃的な性格となっている等の様子が見られた場合には神経系に何かしらのトラブルがあるかもしれません。
愛犬とのコミュニケーションをしっかりと取る時間を確保し、身体全体を撫でてあげることや、表情に注目してあげることで、病気の早期発見につながるのです。
<8.まとめ>
犬という動物は本来、仲間意識がとても強く、
「仲間と楽しく穏やかに暮らしたい」
と常に考えている動物です。
人間と生活するようになり、犬にとっての仲間の中に、人間ももちろん入っているのです。
犬が人間に対して表現している感情は基本的に
「仲良くしたい」
「危害は与えません」
「落ち着いて」
ということだと言われています。
人間が犬を擬人化し、犬の表情を全て人間に当てはめて考えてしまいがちですが、もしかしたら犬が伝えたいことはちょっと違うかもしれません。
人間の感情に当てはめて考えることは、人間のエゴ。
そんな考え方もあるのです。
本当に犬が伝えようとしていることを、深く読み取り、理解してあげることも人間の役割なのかもしれません。
日本人は細かい表現や表情で感情を表すことが得意と言われている人種です。
それに伴い、日本人に飼われている犬の感情表現も、深くなっていると伝えられています。
心を閉ざした犬の様子がTVで放映されるシーンも多く見かけるようになりました。
新しい飼い主に恵まれ、日々の生活を送る中で表情が柔らかくなっていく様子をうかがうことができます。
犬は人間から表現を学んだと前述しました。
犬に対する人間の態度や言動、飼育方法によって犬の心を閉ざすことは簡単にできてしまうということを忘れてはいけません。
人間と同じように、一度閉ざした心を開くことは、人間にとっても犬にとっても、非常に大変なことなのです。
10数年という短い命。
できる限り、楽しい思い出をいっぱいにして命を全うしてほしいと思います。
そのために、人間は犬に伝えるだけではなく、犬が伝えようとしていることも丁寧に見極めてあげることが大切なのです。
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