見落とさないで!『犬の精神疾患』症状と対処法を解説

見落とさないで!『犬の精神疾患』症状と対処法を解説


 

近年人と同じく、犬の寿命も大幅に延びています。

 

犬は人と違って

 

「痛い」

 

「苦しい」

 

と言葉で症状を訴えることができません。

 

飼い主が普段の愛犬の様子をよく観察し、異変に気付いてあげる必要があります。

 

しかし犬の病気も人と同様多種に渡るものになってきているため、飼い主がすぐに気づいてあげられないケースも少なくありません。

 

その代表的なものが精神疾患と呼ばれる病気です。

 

 

精神疾患とは何か?

 

犬はとても賢く飼い主に忠実な動物です。

 

また人の気持ちを察する能力も高く、感情の豊かさも持ち合わせています。

 

それ故時に我慢をしてストレスを感じることや何かにショックを受けて心を閉ざしてしまうことがあります。

 

そんな時自らの意志ではなく現れてしまう症状が精神疾患の症状です。

 

問題行動と言われる無駄吠えなども場合によっては精神疾患が原因となっていることもあるので判断が難しいと言われています。

 

代表的な精神疾患の種類

 

精神疾患と一言で言っても一括りで説明できるものではありません。

 

症状が起きる原因や犬の個体差によってもその現われ方は異なります。

 

次にあげる5種類は精神疾患の中でも代表的なものです。

 

1.常同行動

 

同じ行動を繰り返してしまう疾患で、原因は日常生活での不安や不満にある場合が多いと言われています。

 

飼い主とふれ合う時間の減少や、引っ越し・家族の増加といった生活環境の変化など人と同じように犬もストレスを感じてしまうことがあります。

 

そんな時犬は同じ行動を何度も繰り返すことで落ち着きを取り戻そうとしていると考えられています。

 

【常同行動の主な例】

 

  1. 自分の体の一部を舐める、噛む
  2. しっぽを追いかけてグルグル回る
  3. 誰もいないのに周囲をキョロキョロ確認する

 


 

2.うつ病

 

人のうつ病と同じくその原因は様々でこれだと特定することはできません。

 

生活環境の変化が大きく関わっている場合もあれば、間違ったしつけや育て方をされたことによる恐怖から精神を病んでしまうこともあります。

 

また情の深さから飼い主との離別や死別で発症する場合もあります。

 

【うつ病の主な例】

 

  1. 睡眠時間の増加
  2. 挙動不審な行動
  3. ふれ合いを避ける
  4. 食欲減退

 

3.分離不安

 

飼い主やお気に入りのおもちゃ、ブランケットなどいつもそばにある物から離れると不安を感じ精神的・肉体的に色々な症状を引き起こしてしまうことがあります。

 

これが分離不安と言われる疾患です。

 

常に飼い主と一緒にいる犬は少しの時間ひとりになるだけでも

 

「置いて行かれた」

 

「捨てられたのかも」

 

と感じることがあります。

 

また飼い主が留守の間に雷や大きな騒音が聞こえたなど恐怖を経験した犬は飼い主がいなくなるとまた同じ事が起きるのではないかと考え不安になるといったケースもあります。

 

【分離不安の主な例】

 

  1. 悲鳴のような声で鳴き続ける
  2. 下痢をする
  3. ティッシュやクッションの中綿を噛んで引っ張り出すといった破壊行動をする
  4. 粗相をしてしまう

 

4.恐怖症

 

特定の対象や状況に恐怖を抱き敏感に反応してしまう疾患です。

 

PTSDという言葉を聞いたことがあるかと思います。

 

これはある恐怖体験がトラウマとなり、その後月日が経っても特定の状況になるとその時の恐怖が鮮明に蘇ってしまう状態をいいます。

 

犬の場合しつけの一環と称して虐待に近い扱いを受けたり、雷や地震といった天災による恐怖を経験することでも発症することがあります。

 

【恐怖症の主な例】

 

  1. 体が震えてしまう
  2. 粗相をする
  3. 落ち着きがなく動き回る
  4. 呼吸が浅くなる

 

5.認知症

 

現代社会において人にはよく知られる病気となりましたが、医療の進歩とともに寿命が延びると犬にも認知機能不全と呼ばれる症状が確認されるようになりました。

 

しかし多くの飼い主は症状が認知症からくるものであることに気づきにくいのが現実です。

 

それは認知症の症状がみられるようになるのが比較的高齢になってからだということ、そしてやはり人と違って言葉で意思を伝えることができないことが大きいのではないでしょうか。

 

飼い主も愛犬の変化を

 

「だいぶ歳をとったからなぁ」

 

と老化のせいだと思いこみ発見が遅れてしまう可能性があるのです。

 

【認知症の主な例】

 

  1. 名前を呼ばれても反応が薄い
  2. 行ったり来たりを繰り返す
  3. トイレではない場所で排泄してしまう
  4. かまってほしいアピールをしなくなる

 

 

精神疾患の予防と対処法について

 

ここまで犬の代表的な精神疾患について見てきましたが、予防の仕方や万が一疑われる症状が現れた時どのように対処すればいいのでしょう。

 

どの精神疾患にも共通して言えることは、犬がなぜその行動をとっているのか原因を探ることにあります。

 

『常同行動』

 

が疑われる場合、犬は何か極度のストレスを感じている可能性があります。

 

犬がどのように毎日生活しているか思い返してみてください。

 

しつけと言って必要以上にきつく叱ってはいませんか?

 

愛犬とのスキンシップは十分とれていますか?

 

毎日散歩に行って愛犬がリフレッシュできる時間を作ってあげていますか?

 

こうした事を意識して愛犬と生活することは精神疾患の予防にとても効果的です。

 

あまりできていないかもと思われる方はこれを機に見直してみてください。

 

ストレスが解消されれば症状の改善にもつながっていくでしょう。

 

『うつ病』

 

が疑われる場合も常同行動と同じく、極度のストレスが関係している可能性が高いです。

 

またうつ病は自律神経の乱れが大きく影響するといわれているため、自律神経を整える対策が効果的です。

 

具体的には散歩をしてお日様に当たる時間を作る、ボールなどのおもちゃを使って運動をさせるといったことや、スキンシップを兼ねてリンパマッサージをするのも良いとされています。

 

『分離不安症』

 

が疑われる場合は、犬が飼い主に依存しすぎてしまっている状態に問題があると考えられます。

 

犬がひとりでいる時間を1日数分単位から作るようにして、問題がなければ徐々に時間を延ばしていくようにトレーニングしましょう。

 

飼い主がいなくても

 

「待っていれば帰ってくる」

 

と安心して過ごせるようになるのが目的です。

 

トレーニングは無理をせず症状が悪化するようであればやめて動物病院など専門の医師に相談することも大切です。

 

『恐怖症』

 

が疑われる場合は、犬が恐怖と感じる対象が特定の場所であったりして避けられるものであれば避けるのが賢明です。

 

回避ができない雷などの場合、症状が出てもなだめたり叱ったりすることはかえって逆効果です。

 

構いすぎずに落ち着きを取り戻すのを待ちましょう。

 

また飼い主に意識を向ける

 

「まて」

 

「おすわり」

 

を日ごろからトレーニングしておくことで気を紛らわすこともできます。

 

『認知症』

 

が疑われる場合、その行動は飼い主の生活にも支障をきたす恐れがあります。

 

例えば昼間に長時間寝てしまうことで夜間寝ずに徘徊を繰り返す、遠吠えがおさまらないといったことです。

 

残念ながら認知症には効果的な対処法が見つかっていないのが現実です。

 

しかし知育トイといったおやつがでてくるようなおもちゃで遊ぶことや運動をすることは犬にとって良い刺激を与えるだけでなく、正しい時間に眠るように促す効果があります。

 

また認知機能をサポートする効果がある療養食もあるので、医師に相談してみるのも良いでしょう。

 


 

ストレス要因を減らして愛犬と健康な毎日を送りましょう

 

精神疾患は一見たいした問題でないかのように捉えられがちです。

 

しかし犬も人と同じく毎日の生活の中でストレスを溜めている可能性があります。

 

その原因をつきとめ解消するように努めることで犬にとってより過ごしやすい環境を与えてあげることができるでしょう。

 

愛犬の行動の変化に気づくのは容易いことではないかと思います。

 

精神疾患についての認識を少しでも持って日々愛犬と向き合い、コミュニケーションをとることで僅かな変化に早い段階で気づくきっかけになることを願っています。

 

ご購読ありがとうございました。

 

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