かけがえのない家族、いつも私を元気づけてくれたチワワの愛犬モカとの別れ

かけがえのない家族、いつも私を元気づけてくれたチワワの愛犬モカとの別れ


 

【愛犬の存在とは?】

 

あなたにとって、

 

「愛犬」

 

とはどんな存在ですか?

 

「癒しを与えてくれる存在」

 

「寂しさを埋めてくれる存在」

 

…などなど。

 

様々な回答があるとおもいます。

 

その中でもやはり、

 

「かけがえのない家族」

 

と答える方が多いのではないでしょうか。

 

私ももちろん、そう考えているのですが、愛犬のモカを飼う以前は

 

「お金と労力と責任もかかる重大なこと」

 

だと思っていました。

 

何故なら、生き物の命を預かることは、非常に責任のあることだということを知っていたために、

 

「自分のこともちゃんとできない私ができるはずがない」

 

と思い込んでいたからです。

 

そのため、

 

「犬を飼う」

 

ということ自体、私には無理なことだと思っていました。

 

何なら、

 

「人間とも分かり合えない私が、犬に懐いてもらえるわけがない」

 

とすら思っていました。

 

しかし、突然の愛犬との出会いによって、このような卑屈な考え方や

 

「愛犬」

 

という命との向き合い方、そして自分の生き方についても考え直すようになりました。

 

そんな私の人生観を変えてくれた、一匹だけの、私の大好きな妹についてのお話です。

 

 

【突然訪れたチワワとの出会い】

 

私が小学校5年生の頃の話です。

 

当時、私は学校でいじめられており、不登校になっていました。

 

見かねた両親は気晴らしに、ということで大型のイオンモールの愛犬ショップに連れて行ってくれました。

 

私はただ両親がアニマルセラピーとして私を癒そうとしてくれているだけだと思っていたため、普通に愛犬ショップにいる犬を眺めていました。

 

その中でも印象的だったのは、他の犬と比べてひときわ元気がなく、抱かせてもらっても大人しい茶色と白色のチワワでした。

 

そんなチワワを見た瞬間、両親から慰められても元気を出せない自分と重なってしまい、放っておけませんでした(実際はただの風邪だったらしいのですが)。

 

そのときは全く飼う気はなかったのですが、その子のことをずっと気になっているのを父は察してくれ、そのまま飼うことになりました。

 

帰りの車内では名前を何にするかで悩みましたが、茶色と白色の毛並みの女の子でしたので、父の提案の

 

「ゴンザレス」

 

を却下し、

 

「モカ」

 

と名付けることにしました。

 


 

【蓋を開けると、かなりやんちゃだったモカ】

 

しばらく風邪薬を処方させ、元気になったモカは可愛いイタズラばかりしていました。

 

私の部屋に入ってぬいぐるみを物色し、気に入ったものがあれば勝手に自分のゲージの中に迎え入れたり、散歩中は見かけた野良猫に対して、私の後ろで威嚇したり…。

 

かなりやんちゃで武勇伝の絶えないような子でした。

 

特に印象的だったのは、公園で散歩していた日のことです。

 

私がモカを連れて散歩に行っていた公園は野良猫がとにかく多かったため、よくモカは猫を追いかけていました。

 

そんな公園を散歩していたとき、結構歩いたので休憩を取ろうとベンチに座っていました。

 

モカはリードを外しても私の視界に入る程度にしか歩き回らなかったため、モカを信用して休憩をとっていました。

 

ベンチで一息つき、リュックから水筒を取って飲む、その程度の時間しか経っていなかったのですが、モカが突然消えたのです。

 

かなり広く、自転車も通らないような公園なので、交通事故に遭っている可能性は極めて低いと考えて公園中を探し回りました。

 

しばらく探していると、なんと、小さくて浅いドブ川に落ちて岸辺に前足を乗せて、物凄く申し訳なさそうな顔で見上げているモカの姿を見つけました。

 

脚を骨折していないか、すぐに見ましたが、特に問題なさそうで一安心。

 

それにしても、何故そんなところにいるのかと思案していると、ドブ川の向こうで頑張って逃げている野良猫が見えたのです。

 

恐らく、野良猫を追いかける最中、猫は持ち前のしなやかさでドブ川の向こうへと飛び移り、それを見たモカは

 

「似たような骨格の自分でもできる!」

 

と思ってしまい、同じように飛び移ろうとして失敗したのでしょう。

 

ドブ臭いモカを引き上げ、急いで帰ってお風呂に入れてあげたあと、モカは

 

「もう!!無茶したらダメでしょ!」

 

と、しこたま母から叱られていました。

 

かなり申し訳なさそうな顔で自分からゲージの中に閉じこもっていたのが印象的でした。

 

 

【そんな明るさで私を支え続けてくれたモカ】

 

モカは非常にやんちゃで困らせることも多い子でしたが、それでも私たちに確かな光をくれていました。

 

学校でのいじめが落ち着き、それでもなおトラウマを抱えて一人で泣くことが多かったのですが、モカは必ず傍に寄り添ってくれていました。

 

一人で閉じこもってずっと泣いていたときは、モカは母の気を頑張って引き、私の傍に連れてきて知らせようとしてくれたり、鬱が悪化して発狂してしまったときは、ずっと傍にいてくれたりしていました。

 

それだけでなく、私が眠れない日も、わざわざ起き上がって寝かしつけてくれました。

 

ここまでくると、どちらが飼い主なのかわかりませんね。

 

そのような面倒見のいい子でしたので、つらいときはすぐにモカに頼るようになりました。

 

【私の成長と自立】

 

高校生になり、私はモカや、モカに構っているときの明るくなっている自分のことも好きになっていきました。

 

好きな明るい自分をもっと表に出したい!

 

と思い、高校デビューのつもりで明るく振舞うようになりました。

 

そのおかげか、彼氏やたくさんの友達ができるようになりました。

 

私が落ち込んでいるとすぐに気づいてくれる優しい人ばかりで、いつも相談に乗ってくれたり、愚痴を聞いたりしてくれていました。

 

以前まではモカに愚痴を聞いてもらったり、慰めてもらったりしていたため、徐々にモカに頼るよりも、人間の友達や彼氏に頼るようになっていきました。

 

そうしていくうちに、私は人間不信が段々と改善していき、モカもあまり私に構おうとはしなくなっていきました。

 

母曰く、友達や彼氏と通話などで喋っている姿を見てモカは安心していたようです。

 

今思い返してみると、それだけモカに頼りっぱなしだったのだなということがよく分かります。

 

【モカから託された想い】

 

モカが10歳になってしばらく経った、とある夜中のことでした。

 

モカが排便していた際、排便できた瞬間に突然倒れてしまったのです。

 

以前から咳がひどく、病院に行っても何も言われなかったため、問題ないと油断していました。

 

とりあえず親が病院に行く準備をしている間、私は必死にモカの心肺蘇生をしていました。

 

車の中に入り込み、必死に

 

「お願い、起き上がって、モカがいなかったら私独りぼっちだよ」

 

とモカに叫び続けました。

 

帰る頃にはきっと、元気になって私の膝の上でくつろいでくれると信じていたから。

 

そのとき、何となく声が聞こえたのです。

 

「そんなことない、もう私がいなくても大丈夫。」

 

その声が聞こえた瞬間、モカから温かさが消えていきました。

 

信じたくない、という想いで病院に駆け込みましたが、モカは私の膝の上で眠るように逝ってしまったのです。

 

帰りの車内は恐ろしく静かで、寂しいほど暗く感じました。

 


 

【心の中で誓った約束】

 

翌日、悲しみに暮れて一睡もできないまま、モカの家族葬を行いました。

 

葬式場に向かう間、何度も何度も心の中でモカにお礼を言いました。

 

泣いているとき、いつも傍にいてくれてありがとう

 

眠れないとき、寝ていたのにわざわざ起き上がって、面倒くさそうに私を寝かしつけてくれてありがとう

 

自傷行為しようとしていたときだけ決まって、私の傍についてきて止めに入ろうとしてくれてありがとう

 

様々な感謝の念を送っていると、今までどれだけモカに頼ってきたかを今更ながら自覚するようになりました。

 

そして、また昔のように自分の短所を責め続けて心を病んでしまったり、落ち込んでしまって誰にも打ち明けずに引きこもってしまったりしてしまうと、モカも安心して成仏できないのではないかと思いました。

 

そのため、私は火葬場に連れていかれてしまうモカをまっすぐ見つめ、約束しました。

 

「絶対に、モカを安心させられるくらい強くなるから、約束だよ!」

 

と。

 

これからはモカが安心できるような生き方をするぞ、ということを心の中で誓い、私は涙を流しながらモカとお別れしました。

 

【愛犬との別れ、最後に】

 

「愛犬を飼う」

 

ということは、必ずしも

 

「ただ癒されるだけ」

 

というわけではありません。

 

癒しの先に何かを得られ、一緒に成長できます。

 

それがインコであれ、猫であれ、犬であれ、変わらないのではないかと思います。

 

大好きな愛犬とのつらい別れが来てしまい、元気を出せない方もいらっしゃると思います。

 

それでも、悲しみや後悔ばかりの気持ちで愛犬との別れを迎えないであげてください。

 

もしも、あなたが大切な人と別れるとき、ずっと謝られると、逆に罪悪感が湧いてくるのではないでしょうか。

 

恐らく、愛犬も同じ気持ちになるのではないかと思います。

 

もしも、この記事を読んで頂いている方もつらい別れを経験したことがあるのなら、ぜひ、愛犬との幸せな思い出を思い出してみてください。

 

きっと、亡くなった愛犬も報われるはずです。

 

ご購読ありがとうございました。

 

 


page top